損害の額を決定するために最低限必要なものは?
対物事故における損害額を証明する書類として、最低限、以下の3点が揃えば損害の額は決定されます。
1.被害車両の市場価格が分かる資料(いわゆるレッドブックやインターネットの中古車販売検索サイトの情報)
2.修理見積書
3.車両の被害状況が分かる写真
そして保険約款には次のような文面があります。
あいおいニッセイ同和損保 タフ・クルマの保険 普通保険約款・特約
第20条(保険金の請求)(3)⑦より抜粋
「対物賠償責任条項に係る保険金のうち、他人の財物の損壊に係る保険金または車両条項に係る保険金請求に関しては、被害が発生した物の価額を確認できる書類、修理等に要する費用の見積書および被害が発生した物の写真」
あってもなくてもいいものは、次のようなものになります。
保険会社側が要求してくることがありますが、ルール上はなくても問題ないことです。
A.保険会社の現物確認
B.保険会社が作成する修理見積書
C.保険会社と修理会社との協定
(注:Aに関しては、保険会社が支払いの条件として必要とする場合があります。)
保険会社の修理見積書は協定に必要ない
車の修理工場は、お客様がその立証責任を果たすべく、ベストの仕事をすべきです。
保険会社に見積もりを作成させて、そこから少し値段交渉をして協定するような仕事はベストとは言えません。
そもそも、保険会社は見積書を作成する立場にはありません。
保険金の支払い額を減らしたい保険会社の見積に意味はないと思います。
保険約款においては、前述のとおり、保険金の請求権者(被害者)が修理見積書を提出すると明記しています。
保険会社が自社の見解を述べることは自由ですが、あくまで基準は被害者が提出する見積書です。
そして約款に沿って提出した見積書の通りに支払うことできない場合は、その説明責任を、事実上、保険会社が負います。
保険金を支払わないのなら、保険会社はその理由を説明する責任がある
被害者の立証は、その損害を示す修理見積書(+市場価格が分かる資料と被害が分かる写真)を提出することによってなされます。
立証が果たされた時点で、説明(反証)責任は保険会社が負うはずです。
説明責任については、一般社団法人日本損害保険協会が発行するガイドラインに次のように明記されています。
損害保険の保険金支払に関するガイドライン
Ⅳ.事故発生から保険金の支払に至るまでの留意事項 より一部抜粋
1-(1)事故が発生した場合においては、契約者等に対し請求漏れが発生しないように、支払われる可能性のある保険金(特約・費用保険金を含む。)とその内容を漏れなく案内するとともに、保険金がお支払いできない可能性がある場合は、その理由を法令および約款に基づき、わかりやすく説明する。被害者に対しても、請求可能な項目を案内するとともに、請求方法についても具体的にわかりやすく説明する必要がある。
1-(4)ア.専門知識に基づく根拠をもった交渉
適切な保険金支払のために必要な専門知識に基づく、合理的でわかりやすい説明により、支払保険金や損害賠償金について、被害者の理解と納得を得るよう努める。
「こちらは説明する立場にありません。」
請求金額が高いと主張する根拠について説明を求めたときに、このような発言する保険会社の支払い担当者が稀にいますが、それは違います。
自動車修理工場だからこそできる保険金請求のための立証サポート
よし!じゃあ修理見積書を作成するぞ!・・・と考えたところで、
修理に関する専門知識や設備のない素人の方が修理見積書を作るのは不可能に近いです。
だからこそ車の修理工場に入庫してください。
現在進行形で事故に遭われて車を購入したお店に入庫されている方もいると思いますが、
修理工場(車体修理のプロ)だからこそできることがあります。
① 車両をリフトに上げて下回りの損傷をチェックする
② 損害を確認するために必要と思われる外板部品を全て外す
③ 故障診断機(スキャンツール)をあてる
④ 計測する(アライメント計測器や三次元計測器などを用いて正常な車両の寸法と比較する)
⑤ ①~④を考慮して、事故の損傷範囲を抜け漏れのない見積書を作成する
繰り返しになりますが、保険会社が作成する見積書はあってもなくてもいいものです。
保険金を請求する側が提出する見積書は必須です。なぜなら、それが基準となるからです。
そのお手伝いをぜひ私たちにお任せ下さい。物損事故の保険協定についてお困りの事があればお気軽にご相談ください。
参考文献:一般社団法人事故車損害調査協会「損害保険のそもそも論」
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